家づくり

Case. 06リノベーション

土地のご紹介

建て替えから「リノベーションのすゝめ」

新築から建て替えまでのスパンは、およそ40年といわれているが、この統計は建物の寿命とは直接関係ない。なぜなら、今でも築100年以上の建物を数多く目にするからだ。
劣化した部分には手を加え、メンテナンスを施していけば、わざわざ建て替える必要なんてない。古家を解体するだけでも数百万円の費用が掛かるのである。
それよりも、年月を積み重ねてきた独特の風合いを活かす、リノベーションをおすすめしたい。

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築37年軽量鉄骨造の家プロジェクト

軽量鉄骨造とは、建物の柱や梁の骨組みに軽量の鉄骨を使う構造のことだ。
木造で建て替えるより、この堅牢な骨組みを活かした家づくりを行っていく。
古き良き味わいと洗練されたモダンさが融合した、居住空間になればと思う。


リノベーションCase. 06

築37年軽量鉄骨造の家プロジェクト

ガーデンスペース
南側にある庭は、植栽がうっそうと茂り、物置が設置されていた。
いかにもジメジメとした暗いイメージを想起させている。せっかくの採光、眺望が犠牲になっていたのですべて伐根・撤去。広々とした明るいガーデンスペースが現れた。
また、プライベート感を確保するためウッドフェンスを施工。
無垢材の温かみで「いかにも隠している」という感じがなく、近隣に与える印象もやわらかく、圧迫感もない。

玄関
北側にある玄関には、赤系の大理石タイルが敷き詰められていて、昭和を生きた世代にはノスタルジックな思いを掻きたてられる。レトロでいいのだが、野暮ったさは否めない。
シックで主張の少ないモルタル仕上げとした。
さらに、階段や袖壁など目障りなものを撤去し、スケルトン階段とガラス扉を施工したことにより、玄関からリビングまでの「抜け」がキープできた。

LDK
それぞれ間仕切りがされていた壁を取っ払い、リビングを中心とした開放的な空間とした。
フローリング床材は、素足でも木の温もりが感じられるようオーク無垢材を使用。
また、リビングがガーデンスペースに続いているかのように、ウッドデッキを設置した。
壁付けキッチンはリビングからよく見えるため、家具のような佇まいを持つグラフテクト(GRAFTEKT)のキッチンを採用。

和室
長押(なげし)のある本格的な和室を活かすため、天井は色トーンを落としたシナの板材を使用し、ダウンライト照明にすることで落ち着きのある和空間とした。

いにしえから続く良い部分は残せばいい。具合が悪くなったらその部分に新しい技術を取り込んでいく。
既存住宅を住み継ぐヒントとして、小気味の良いリノベーション例ではないだろうか。

設計:HIRO建築設計事務所
施工:長澤建築
撮影:熊木 徹