家づくり

Case. 18リノベーション

土地のご紹介

築約60年の住まいを、これからの暮らしに合わせて全面リノベーションしました。
ご相談いただいた当初は、昔ながらの小さな部屋がいくつも連なる、いわゆる「細切れ」の間取り。
お施主様からいただいたご希望は、「明るく、広いリビングで暮らしたい」というものでした。
そこで今回のリノベーションでは、まず「リビングを住まいの中心にする」ことから間取りを考え直しました。
玄関の位置を変更し、水回りを一か所に集約。できる限り廊下を少なくし、その分を居住空間へ。
細かく仕切られていた部屋をつなげ、家族がゆったりと過ごせる大きなLDKをつくりました。
また、階段を中心にぐるっと回れる回遊動線を取り入れ、開放感だけでなく、毎日の暮らしやすさにも配慮しています。

建築家・施工会社とつなぐ

庭までつながる、明るいリビング
玄関を入ると、その先にはすぐリビングが広がります。
大きなガラスの引戸を採用し、視線が奥まで抜けることで、実際の面積以上の広がりを感じられるよう計画しました。
さらにホールには地窓を設け、低い位置から庭の景色と光を取り込みます。
ホールからリビングへ。
リビングからウッドデッキへ。
そして、その先の庭へ。
それぞれを別々の空間として考えるのではなく、視線と光が自然につながっていく住まいを目指しました。
「明るいリビング」をつくるだけではなく、家の中と外が自然につながること。
これも今回、大切にした設計のひとつです。

リノベーションCase. 18

築60年。細切れだった住まいを、明るく開放的なひとつの空間へ

解体して初めて分かった、抜くことのできない4本の柱
リノベーションでは、図面だけでは分からず、壁や天井を解体して初めて分かることがあります。
今回も、細切れだった部屋をひとつの大きなLDKにするため解体を進めると、リビングとダイニングの間に、構造上どうしても抜くことのできない4本の柱が残ることが分かりました。
もちろん、柱がなければ空間はよりスッキリします。
でも、建物を支えるために必要な柱なら、無理に取り除くことはできません。
そこで発想を変え、「残ってしまう柱」ではなく、「この家だからこそある柱」として活かすことにしました。
もともと壁の中に隠れていた柱なので、解体した直後は表面も荒れ、そのまま見せられる状態ではありません。
そこで既存の柱に桧板を巻き、美しい化粧柱へと仕上げました。
さらに現在は、柱と柱の間をアームでつなぎ、植物を飾れるようにしています。
構造上どうしても抜けなかった4本の柱が、今ではリビングとダイニングをゆるやかに分けながら、空間に表情を与えるアクセントになりました。
なくせないものを、どう活かすか。
こうした工夫も、既存の建物と向き合いながらつくるリノベーションの面白さです。
トラックが入れない。その先にある家
今回のリノベーションには、もうひとつ大きな難題がありました。
建物があるのは、道路から細い通路を入った、そのさらに先。
軽トラックすら入ることができません。
つまり、解体して出た廃材も、新しく使う建築資材も、すべて人の手で運ばなければならない現場でした。

築60年の家をスケルトンにすると、それだけでも相当な量の廃材が出ます。
さらに、この家には昔ながらの土壁が多く使われていました。
壁を解体すると、大量の土が出てきます。
「これを全部、ここから運ぶのか……」
正直、気が遠くなるような量です。
一度に運べる量には限りがあります。
現場から駐車場に停めたトラックまで、何度も、何度も往復する。
廃材を出すのも手運び。
新しい資材を入れるのも手運び。
完成してしまえば見えなくなる部分ですが、こうした地道な仕事の積み重ねがあって、ようやく一つの住まいが完成します。
新しくするだけが、リノベーションではない
そして今回、どうしても残したかったものがあります。
この家で長年使われてきた、存在感のある大きなテーブル(一枚板)です。
古い家を改修すると、「古いもの=処分するもの」と考えてしまいがちです。
でも、長い年月をこの家とともに過ごしてきたものには、新しい材料にはない表情があります。
そこで、この一枚板を処分するのではなく、玄関の式台とテレビ台として再利用しました。
60年という、この家が積み重ねてきた時間の一部を、新しくなった住まいの中に残しています。
全部を新しくするのではなく、残せるものは残す。
そして、今の暮らしに合わないところは、大胆につくり変える。
細切れだった部屋は、明るく大きなリビングへ。
閉じていた住まいは、光と庭につながる住まいへ。
抜けなかった柱は、空間を彩るアクセントへ。
そして、昔からあったテーブルは、新しい役割を持って再びこの家の一部へ。
築60年という時間を受け継ぎながら、今の暮らしに合う住まいへのつくり変える。
古いものを活かし、新しい暮らしへとつなぐリノベーションとなったのではないだろうか。

設計:HIRO建築設計事務所
施工:株式会社HIRO不動産